ちいさいかにがなにか言ってるだけ。

ちいさいかには、浅利の中で発見されました。どうしようもなく、浅利のお味噌汁に入れて飲み干しました。私の細胞には、ちいさいかにだった原子が1つくらいはまだあると思うのです。

ちいさいかにっき250923

私は、かれこれ数年間、定期的に視聴しているYouTubeチャンネルがあります。

とても愛らしい猫たちが登場して、なかでも「まる」と名付けられた大きな猫がいて、彼のことが大好きでした。

彼は、猫というより「まる」という生き物であり、彼なりの哲学の中で生きていること、そして、それを飼い主さんが大切にしていらっしゃることが伝わる動画が本当に好きで。

ただ、彼が猫の寿命からするとかなりの高齢であることは、ずっと頭から離れなくて、いつ「そのとき」が来るかを少し怖い気持ちもずっとありました。

そして、「そのとき」が来ていたことをYouTubeの投稿から知り、いま、残された猫たちの動画を観て泣いていたところです。

初めて「まる」の動画を見たのは、10年ほど前で、それはビールの空き箱にスサーと飛び込んでゆくおもしろくてかわいい動画でした。あまりにもすてきな動画だったので、当時いた大学の学生さんにも「見て見て!」と一緒に見ていたのを覚えています。

こちらが一方的に動画で知っていただけなのに、いつかはと覚悟をしていたはずなのに、それでもやっぱり悲しいものは悲しいのですね。

残された猫たち(はな、みり)は、旅立った「まる」のお気に入りの場所によくいるようになったそうです。この子たちにも分かるんだろうな、と思います。

飼い主さんも「そのとき」から少し経ってから投稿をされていて、心の痛みとその深さを想像せずにいられません。

動画を通してしか、知らないはずの「まる」ですが、その存在が思ったより大きなものであったことに泣きながら気づきました。

 

だから、私は猫を飼うのが、怖いのです。

ちいさいかには母の日に贈り物ができない。

母の日、今年の分はもう過ぎたけど、何もしなかった。去年もその前も何もしなかった。

いつだか夫が嬉しそうに母の日のプレゼントを選んで贈るのを見て「私もやらなきゃいけないのかな」と焦って、贈ってみたことがあった。たしか、当時住んでいたあたりの老舗で保存食にもなるようなものを選んだと思う。準備に時間をかけずにすぐに食べられるのがいいのかな、とか、そんなことを考えた気がする。

贈ったあと、母が何を連絡してきたかは覚えていない。「届いたよ、ありがとう」みたいなLINEが来たんだろうと思う。

そこから、私はどうしようもなくそわそわして「母は本当は喜んでいないんじゃないのか」「母の好みではないものを送ってしまって、本当は機嫌を損ねたんじゃないか」「『あの子はこんなつまらないものを送ってきた』と内心思ってはいないか、誰かに言っているのではないか」などと考えたら、自分が選んだプレゼントが正しかったかどうか自信がなくなってしまって、無論、感想を聞くなんて恐ろしくてできなくて、ただただ心が疲れた。

ちゃんとしなきゃ、夫がそうしてるみたいに実家の家族を大切にして、喜ばせて、時々帰省して一緒に楽しく食事をしたり、話を聞いてあげたりしないと。

そう思って、母の日をしてみたけど、私には合わなかったみたいです。

今でも、家の外ではニコニコと愛想よくしているのに、家に帰るとブツブツとなにかに文句や愚痴、悪口を言っている母の姿を思い出して、誰かや何かに向けられたそれらが、いつの間にか、私に向けられているのを想像してしまう。

私は、それがずっと居心地が悪くて「お母さん、人の悪口を私の前で言うのは辞めて」と言えるくらいには強い心は持っているけど、それでも辞めてくれない人にこれ以上何かを奪われることまでは許せていない。そして、私の中にいつのまにか内面化してしまった、母のように誰かを過剰に否定的に捉えてしまう思考回路は常に私が心から楽しんだり、気分がよくなることを邪魔してくる。

お母さん、こんな贈り物は私は受け取りたくなかったよ。

私は、母の日にいらないものを返せたらよかったのにね。

 

ちいさいかにと夜のにおい

2年ほど前から片頭痛が急に酷くなって、強い薬を処方されている。それでも悪くなるときはあって、頓服を飲む。これでもだめなときは光が目に入ってくるのがとてもつらくて夜だった場合には灯りを消して無印良品でいつだかセールのときに買ったアロマディフューザーの灯りだけで過ごす。で、せっかく機能としてついているのだからと、その日はローズゼラニウムのオイルを垂らして休んでいた。

ローズゼラニウムのあますぎない香りが部屋にかすかに漂うのを感じながらソファで寝転がってぼーっとしていた。夫はナイトプール*1に行ってしまって部屋はひとりだ。小一時間、ぼーっとしていたら頭痛も治まってきた。そんな頃合いに夫が帰ってきて、少し外出することになった。

昨年の夏に市内のアウトドア用品店で好きになって買ったサンダルをはく。5月だけどもうそんな季節。サンダルのソールはとても薄くつくられていて、自分が歩む度に発せられるペタペタという小さな反響音を聞きながらアパートの階段を降りていった。夫のクルマに乗ろうと階段を降りた先で左に歩き出す。

すると、鼻腔いっぱいに、夜のにおいが入り込んできた。

花の香りだ、と直感的に思った。あまいけど、どこかですっきりとしていて春と夏が混ざった、ちょうどいまの季節のにおいだ。さっきまで、それほど大きくない部屋でかすかにただよう香りとは、まったく次元の異なる、夜の空間まるごとに充満する香りに私はうっとりとした。アロマオイルじゃあ、これには勝てないんだなあ。「私たちのほうがずっと立体的なにおいなんですよ。もしこのにおいが嫌いじゃなかったら、また頭が痛くなったとき夜に部屋から出てきてはどうですか?」と穏やかに薦められたような。

次の日、窓をあければあのにおいがまた愛でられるのではないかと期待したけれど、あの夜のにおいは、窓を開けるのではだめで外に出てみないと嗅ぐことができないようだった。私のアパートの部屋は2階で、風が上手い方向に吹いていないなら、もしかしたら低いところでしか香らないのかもしれない。

昼間に見渡してみて、それらしき花は咲いていなかった。まさかご近所さんのおうちを覗き込むわけにもいかないので、本当にアパートの近くしか見ていないけれど。スイカズラかなあ、とは思っている。

*1:夕食後にジムのプールに泳ぎに行くことを指す我が家限定極ローカル用語

入院持ち物リスト界隈

以前、婦人科に入院したときに持っていったもののことを書いた。 chiisai-kani.hatenablog.com

実は、この記事は敬愛する友人であるところのみけさんが入院されると訊いて書いたものだった。

そして、みけさんが私の記事を引用しながら、入院持ち物の記事を書いてくださった。 morunta.hatenablog.jp

入院界隈の方、よかったら参考にしてください(参考にならないところもあると思いますが)

ちいさいかにっき250310

職場で、前回を上回る衝撃的なできごとがあって、怒りでぼろぼろ泣いた。きょうのできごとは、本当に頭を殴られたかのような痛みがあって、これまで私がやってきたことはなんだったのかと思うような。そして、これからいままでと同じようには過ごしてゆけないということを思ってしまった。まずは、私が心の健康を取り戻すまで休み休み過ごしてみて、それからまた自分を守るためにできることを働きかけていこうと思った。

 

これからプリン食べる。